ヘルニア

1 痛みの少ない手術を心がけています

当科では痛みが少ない腹腔鏡手術を積極的に導入しています。

 

2 早期の手術を心がけています

手術までの待ち時間は,初診から従来法(前方到達法)は約2-3週間,腹腔鏡手術は3-4週間以内です。

 

3 患者さまのご希望に沿った最適な術後の入院期間を心がけています

手術後の標準的な入院期間は,従来法(前方到達法)で3日間,腹腔鏡手術で2日間です。

 

4 他疾患を合併している患者様にも安全な手術を提供しています。

当院は大学病院であるためあらゆる疾患の専門医が揃っていますので他の疾患を患っていても安全に手術を行うことができます。

基本方針

松田 明久助教

ヘルニアについて

ヘルニアは,本来ならお腹の中にあるはずの腹膜や腸の一部(腹腔内臓器)が,多くの場合,そけい(鼠径)部の筋膜の間から皮膚の下に出てくる病気です。一般的に『脱腸』と呼ばれています。小児と中高年が好発年齢で,中高年の場合,腹壁を構成する組織が弱くなることが要因とされており腹圧のかかる力仕事をされる方,スポーツ選手などでなりやすいと言われています。そけい部(鼠径および大腿)のヘルニアで医療機関を受診される方は,年間14-15万人いると推定されており非常にポピュラーな病気です。初期には腫脹,違和感といった軽度の症状のみですが,徐々に疼痛や脱出した腸管が筋肉で締め付けられて元に戻らなくなる『嵌頓(かんとん)』状態になる場合があります。嵌頓を起こすと脱出した腸管などが壊死(腐ること)することによって激烈な疼痛を起こし,壊死した腸管を切除する緊急手術が必要となります。嵌頓に至る可能性は脱出する場所による違いがありますが,全体の約4-5%と言われています。

 

治療について

ヘルニアは手術以外の治療で完治することはありません。成人ヘルニアの手術では,メッシュと呼ばれるポリプロピレン性の補強剤を使用します。現在ではさまざまなタイプのメッシュが使用可能であり患者様のヘルニアの種類により最適なメッシュを使い分けています。メッシュの安全性は確立されており、ヘルニアの術後再発率は約1-3%程度です。

 

ヘルニアの手術法には2種類あり,そけい(鼠径)部を約5-7cm程度切開して修復を行う『前方到達法』と,お臍に約1cmとそれ以外に5mm程度の傷を2箇所に作って行う『腹腔鏡手術』(図1, 2)があります。

 

腹腔鏡手術の利点には,①術直後の疼痛が軽く早期退院、早期社会復帰が可能、②手術創が小さい、③ヘルニア再発例に有効、④同じ切開創で左右のヘルニア手術が可能などといったものがあります。当科ではこの腹腔鏡手術を積極的に行っており、2013年度に行ったそけい(鼠径)部ヘルニア手術144例の内,71例(49.3%)が腹腔鏡手術です(図3)。

しかし,ヘルニアのすべてに腹腔鏡手術を行える訳ではなく,①呼吸機能障害をお持ちの方,②下腹部に大きな手術歴のある方,③大きなヘルニアの方では,前方到達法をお勧めしています。

 

また,腹壁瘢痕ヘルニア(以前の手術創に発生するヘルニア)に対しても,当科では腹腔鏡手術を行っています。

 

 外来、入院手術、退院までの流れ 

手術前の諸検査は外来で行います。入院中は、クリニカルパス(標準的治療プラン)に則った手術後管理・看護を行っています。標準的な術後の入院期間は,従来法(前方到達法)で3日間,腹腔鏡手術で2日間です。ただし、痛みなどの術後の症状には個人差がありますので患者様の状態に合わせて退院日を決定します。

 

(図1)腹腔鏡手術の傷 

(図2)挿入されたメッシュ(腹腔鏡手術)

(図3)当科におけるヘルニア手術数の推移

<動画>ヘルニア手術(TAPP)

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